ギフテッド2Eの不器用さ

ギフテッド2Eの息子を育てていて難しいと思う点のひとつに、長けている能力の陰で足をひっぱる本人の不器用さがあります。病院の先生にも言われるように、息子の得意なこと、好きなことを見つけて、才能を伸ばしてあげたいと思うのですが、常に不器用さが邪魔をするのです。

例えば息子はピアノが大好きです。あかちゃんの頃からおもちゃのピアノを弾きながら自作の歌を歌っていました。聴覚過敏のおかげで絶対音感もあり、耳コピで色んな曲を弾くことができます。4歳からピアノを習い始め、1年生になる頃にはブルグミュラー、ツェルニー、ピアノの練習ABC、ハノンと練習曲の王道に進みました。親ばかながら、ピアノの才能があるんじゃないかと楽しみにしたこともありました。しかし、基礎練習が始まったとたん、急にピアノ嫌いになってしまったのです。そして譜読みが大嫌い。家では練習の度にかんしゃくを起こし、レッスンでも先生に歯向かってバトルになってしまったこともありました。「自分の好きな曲を好きなように弾きたい」という息子。ピアノのレッスンでは基礎練習と譜読みはとても大切。ピアノの道への淡い期待も早々に消えました。練習は嫌いでも「ピアノが好き」という気持ちを失ってほしくないと思った私は、息子に合わせたレッスンをしてもらえないか先生にお願いをしました。幸い先生も理解を示してくださり、息子の好きな曲をレッスンしてもらえるようになりました。そして先生は、譜読みが嫌いな息子に、コードネームを教えてくださいました。コードネームを覚えた息子は耳コピで覚えたメロディに伴奏をつけて色々な曲を弾けるようになりました。基礎練習をしていないのにこんなに弾けるなら基礎練習をしたらもっと弾けるんじゃないか。。。とか、譜読みができればもっと弾ける曲の幅が広がるのに。。。と欲をかいてしまいそうになる時もあるのですが、息子の特性に無理強いは禁物。何事においても息子が「楽しくできる」というのが大前提になければ全てを失うことになります。

またお勉強にしてもそうなのです。理解力、思考力は高いのに、単純な漢字の練習や計算問題が嫌い板書が嫌い。そして授業中はノートに電車の絵を描く。。。そのため、テストの点数は良いのに成績には反映されない。授業態度のせいだよと言っても、自分ではサボっているつもりは全く無く、「すごく頑張っている!」と思っているので納得がいかない。。。とこんな感じです。

運動にしても、小さい頃から逃げ足が早かったので足は早いほう。幼稚園のマラソン大会ではアンカーに選ばれたりしていました。しかし、本番になると、なぜかいつもこけたり靴が脱げたりとハプニングだらけ。まともにゴールできた試しがありません。本人はすごく頑張っているのに結果に繋がらないのです。

すごく良いものをたくさん持っているのに、どれも不器用さに邪魔をされて隠れてしまうのです。そしてそこがギフテッド2Eの特性でもあるのです。能力は高いのに処理能力の低さが足をひっぱるのです。「譜面をみながらピアノを弾けない」、「単調作業の繰り返しが苦手」、「板書が苦手」、「どんくさい」などは処理能力の低さからくるようです。一見、怠けている、努力や我慢が足りないと見られがちなのですが、本人はいたって真面目。サボっているわけでも楽をしたいわけでもないのです。そして努力しても結果に結びつかないので自己肯定感が低くなる。本人のイライラした気持ちはその葛藤の表れなのでしょう。そんな息子を見ている私ももどかしい気持ちとの戦いですが、親として息子がゆっくりと進む道を一歩下がって見守るしかないのです。