主人は小学校から高校まで無遅刻、無欠席。小中高公立のトップを走り続けて国立難関大学を卒業。そんな主人にとって学校を行き渋る息子の姿は甘えに見えたようでした。1年生の頃から「何事もペース作りが大切!」とベッドから引きずり出して遅刻しないように追い立てて行かせたり、「帰ってきたらまず1番に宿題を終わらせる習慣が大切!」と疲れている子供たちにまず宿題をさせる習慣づけをしていました。子供によっては習慣づけることでうまくいくこともありますが、息子にとってそれは大きな負荷であったと思います。
聴覚過敏がひどくなり登校渋りが始まった頃から、息子は家でもイライラして暴力的な言動が増え、特に主人に対して反抗が激しくなりました。朝は主人が起こしに行くと必ず暴れて暴言を吐きまくります。無理矢理起こされて暴れまくる、イライラした状態で学校に行って迷惑をかける、そんな息子の姿に私は耐えられなくなりました。私は「無理に学校に行かせないほうがいい」と主人に何度も訴えましたがなかなか受け入れてもらえず苦しい日々が続きました。
病院の先生に相談するとそれは「反抗挑発症」の症状だと言われました。「一刻も早く学校を休ませてあげてください」と言われました。
反抗挑発症/反抗挑戦性障害は、9~10歳未満の子どもに見られることが多く、 症状は「怒りっぽくかんしゃくを起こしたり、イライラしやすい」「口論好きで権威ある人や大人を挑発する」、「執念深さ」の3つのカテゴリーに分けられます。
私がどんなに訴えても頑なに学校に行かせていたのに、病院の先生から言われたらすぐにアドバイスを実行する主人。学校には「登校できそうな日は行かせますが、これからは無理には行かせないようにします」と伝えました。
主人がようやく理解してくれて、嫌がっている息子を無理に学校に行かせなくてもよい状況になり苦しみから解放されたのはむしろ私のほうでした。
朝は「無理しなくていいよ。起きれるタイミングでいいよ」と優しく声かけをできるようになりました。息子の提案で「ストレスの原因を検証するために思い切って1週間お休みしよう」とお休みしたこともありました。「給食を食べに行ってみようか」とお昼前から登校する日もありました。
色々なパターンを試しながら息子にとって最善の道を探っていました。担任の先生は毎日連絡をくださり、息子に寄り添いながらできるだけ学校に来れるように誘導してくれていました。
そんな時、「どうして学校に行かないといけないの⁉︎」という息子の質問に担任の先生は「憲法で定められているからだよ」と答えてくれました。「こども六法」を愛読している息子はその部分を探し、憲法26条に『すべての国民は教育を受ける権利を持つ』『すべての国民は、自分の子どもに教育を受けさせる義務がある』という部分を見つけて妙に納得した様子でした。息子は論理的に筋が通ったことはすんなり受け入れる傾向があるのでその回答には納得した様子でした。
それから「ぼくが学校にいかなかったらパパとママが憲法違反になってしまうから、パパとママのために学校に行く」と言いました。「無理しなくていいよ」と伝えましたが、それからは遅刻しながらも頑張って行く日が増えました。
学校に行っても教室には入れず廊下で過ごしたり職員室で過ごしたり。授業はほとんど聞いていませんでしたが、理科など興味のある授業は廊下から聞いていたそうです。算数は塾で先取りをしていましたがその他の教科は独学。それでもテストはほぼ100点。たいしたものだと思いました。
病院の先生は息子には在籍校には行かず少人数で学習や活動をできる「ふれあいの杜」という教育委員会管轄の支援センターをすすめてくれましたが、息子のために全力で手を尽くしてくださっている学校を辞めさせる決断もすぐにはできず主人と悩みました。息子にどうしたいか気持ちを聞いても「自分でもわからない」と。「学校内でのいじめ」など不登校の原因がわかっていればすぐにでも決断できたのですが、息子の場合は何が原因なのかいまいちわからないのが難点でした。
そうこうしているうちに3学期も終盤にさしかかりました。息子とも相談して3年生の間は色んな登校パターンを試してみて、4年生の新学期の様子をみてどうするか決めようということになりました。