聴覚過敏

息子が3年生の時のことです。1学期はコロナで休校、2学期はクラスのお友だちと楽しく過ごせていたようで、女の子のグループに混じったり放課後も居残り遊びをして帰ってくるくらい楽しく過ごしていました。

ところが3学期に入って間もない頃、息子が突然「ザワザワした声や音がしんどい」と言い始めました。授業中にも音が気になり教室から出て行くようになりました。学校に遮音用のイヤーマフを持って行き、授業中しんどくなったらイヤーマフを付けさせてもらえるようお願いをしましたが、「イヤーマフを付けても音は完全に遮音できないので意味がない」と言って付けません。何かきっかけになるような出来事があったわけでもなく、急に始まったのです。

あかちゃんの頃から音には敏感で、小さな音にも反応して泣いたりしていたので敏感だとは思っていたのですが、今まで普通に生活をしていたので突然のことに戸惑いました。

担任の先生によると「無秩序な音」を不快に感じているということでした。授業中の先生の声や話し合いの時にザワザワする声などわかっている音や声は大丈夫だそうです。授業中に何か音を出したり、話し声など授業と関係のない声や音が出た時や、休み時間や掃除の時間などにみんなが騒いだりする声などにしんどくなるようです。

担任の先生にしんどくなったら廊下のオープンスペースに出てもいいようにしてもらいましたが、学校でも家でもイライラするようになり、だんだん学校に行くのを嫌がるようになりました。学校に行ってもすぐに先生に「帰らせてほしい」と交渉。先生が帰らせてくれないとなると、だんだん朝が起きれなくなりました。朝起こすと暴れて暴言を吐いて嫌がるようになりだんだん手がつけられない状態になってしまいました。「学校はライオンやトラと一緒に鍵のかかった牢屋に入れられているようなもんだ。先生に助けてと言ってもいったん入ったら出れないと見殺しにされる」と訴えてきます。

耳鼻科で診てもらっても異常は無かったので精神的なものが原因だろうということで再び児童福祉センターにかかりました。診察の時も、学校の話になると急にイライラし始め暴言を吐いたりイスをガタガタさせたりしていたので、一度気持ちを落ち着かせるお薬を飲んでみようかということになりました。

私も主人も薬には抵抗があったのですが、説明を聞くと抑肝散陳皮半夏は漢方薬で依存性はないこと、夜泣きのきついあかちゃんにも処方するお薬だということなので試してみることになりました。

苦い漢方薬をゼリーに混ぜて毎日朝、晩と飲ませました。10日くらいした時に「この薬を飲むとイライラを外には出さなくなるけど、その分自分の中に溜まっていく。この薬は自分を楽にするお薬ではなくて周りの人を楽にするお薬だ」と言い出しました。

次の診察で先生に伝えると「薬の効果を感じているけどそういう感じ方をしているならお薬を代えましょう」となりました。本人の感じ方が一番大切だということでした。次は朝が起きられないため、身体の滋養を高める漢方薬の人参養栄湯小建中湯を処方されました。3週間ほど飲んで診察で先生に「このお薬はどんな感じだった⁉︎」と聞かれた息子は「いつも風邪をひくと嘔吐してしんどかったけど、こないだの風邪の時は嘔吐しなかった」と答えてました。それならお薬の効果があるので続けてみようとなりました。

それからはお薬をもらう為に1か月ごとに予約を入れるようになりましたが、息子は来たければ一緒でもいいし、親だけでもいいとのことでした。息子の前では聞きにくいこともあるので基本的には私と主人で通うようになりました。