出産(お産)

出産(お産)

 

お産は陣痛が始まってから子宮口が全開になるまでの

「分娩第Ⅰ期」、赤ちゃんが出てくるまでの「分娩第Ⅱ期」、

赤ちゃん誕生後に胎盤が出てくるまでの「分娩第Ⅲ期」に

分けられます。

最も時間がかかるのは子宮口が全開になるまでの分娩第Ⅰ期です。

お産を順調に進める要素は大きく分けて4つあります。

ひとつめは子宮が収縮するときの痛みである「陣痛」。

陣痛は弱すぎず、強すぎず適度な強さが必要です。

二つめは「ママのリラックス」。

痛みと痛みの間をうまく乗り切れるかどうかがポイントです。

三つめは「産道の広さ」で、赤ちゃんの頭の大きさと産道の関係も

お産の進行に影響します。

そして四つめは「赤ちゃんとの協力」。

お産はママが赤ちゃんをできるだけ楽に押し出してあげることが大切。

そして体を小さく丸めて自ら出ようとする赤ちゃんの協力も

大切な要素です。

 

陣痛

 

子宮は収縮と弛緩を繰り返しながら赤ちゃんを外へ押し出します。

子宮が収縮する時の痛みを陣痛と言います。

陣痛はずっと続くのではなく、数秒から数分痛みが続いた後には

必ず痛くない時間がやってきます。

痛みがきたら鼻からできるだけ息をゆっくり吸ってろうそく消すように

ゆっくり長く吐くことに意識を集中させます。

吸うことより吐くことがリラックスには大切です。

吐ききることができれば自然に息を吸うことができます。

姿勢によっても痛みの強さが変わるので自分の楽な姿勢を見つけ

ましょう。陣痛の間隔が短くなるにつれて痛みは強くなります。

 

ここで陣痛を和らげる方法をいくつか紹介します。

①おなかをさする

息を吸いながら両手でおなかの左右に円を描くようにしてなで上げます。

次にゆっくり吐きながら両手をおなかの斜め上から恥骨に向けて

さげていきます。

 

② 肛門を押す

肛門付近に違和感があったらいよいよ赤ちゃんの頭が子宮の出口

近くまで下がってきた証拠。テニスボールの上に座ってぐっと肛門に

押し当てると楽になります。

 

③おしりを上げる

ひざをついて軽く足を開き、腰を高くします。

この姿勢は子宮にかかる圧力が少なくなるので痛みが和らぎます。

いきみたいのを我慢するときも有効です。

 

④仙骨付近を押す

仙骨は背骨の下端骨盤の中心にある骨。

押してもらう時はおしりの中央を目安にし、押してもらう時に息を吐き、

緩める時に息を吸うのがポイントです。

 

⑤壁に寄り掛かる

立ったほうが楽な場合は壁に手をついてもたれかかったり、

柱につかまったりして痛みを逃します。

お産を進めるのにも効果があります。

 

⑥肩のなで下ろし

クッションや布団で台をつくり、その上に上半身をもたれさせます。

パパに両肩をなで下ろしてもらいながら「ハァー」と呼吸を

促してもらうと力が抜けます。

 

ママのリラックス

 

陣痛と陣痛の間は気持ちを切り替えてリラックスしましょう。

陣痛の合間に食事や水分を摂り体力を蓄えておきましょう。

サンドイッチやおにぎりなど手軽に食べれそうなものを

つまんだり、アイスやプリンなどで糖分を摂ると良いです。

また陣痛の合間に休めるようならウトウトしてもよいでしょう。

パパとおしゃべりをしたり音楽を聴いたりしてリラックスできると

赤ちゃんにもたくさんの酸素を届けられます。

 

産道の広さ

 

赤ちゃんが通る産道には軟産道と骨産道があります。

軟産道は子宮頸管、膣、骨盤底筋の部分のことで、

お産が近づくとホルモンの影響で柔らかく伸びます。

骨産道は軟産道を包む骨盤のことでお産の時には

ホルモンの影響で全体が少し広がります。

産道の開きやすさは個人差が大きいですし、また産道の

広さに比べて赤ちゃんの頭が大きめであればお産がすすみにくく

なります。妊娠中に太り過ぎると産道に余分な脂肪がつき、

産道が狭くなることもあります。

 

赤ちゃんの回旋

 

狭い産道を通るために赤ちゃんは「児頭応計機能」といって

頭を形作っている何枚かの骨の継ぎ目を互いに重ね合わせて

できるだけ頭を小さくして出てきます。

この時期の赤ちゃんの骨は薄く、骨と骨の継ぎ目が固まっていない

ためにこのような変化ができます。

もうひとつ、お産を進める要素に「回旋」があります。

赤ちゃんは最も小さな直径で頭が産道を通り抜けられるように

あごをぐっと胸に近づけ、産道や骨盤の形に合わせて

頭や体を回転させながら出てきます。

この赤ちゃんの回旋がうまくいかないとお産が長引いたり

停止してしまうことがあります。